システム開発契約について

業務システム開発は、百万~から場合によっては億単位の投資になります。
通常この規模の取引であれば契約書を交わしますが、この点は業務システム開発業界も同様です。
以下に、システム開発業界独特の契約条項を解説いたします。

 

買取りなのか、利用権なのか
原則として納品されたシステムは買取りとなりクライアントの所有となります。しかし、利用権の付与の場合もあります。これは開発システム(フルスクラッチ)ではなく、パッケージシステムの場合に見られます。

 

契約の形態
システム開発特有の事情として、上流工程、下流工程、移行工程において、請負契約になるのか委任契約になるのか少々複雑になることがあります。大型の案件になると基本契約を締結して、その下に工程毎に契約を交わす場合があります。

 

開発工程の明確化
何事にも工程というものがありますが、システム開発にも特有の工程はあります。
上流工程(要求定義、要件定義、外部設計)
下流工程(内部設計、プログラム設計、プログラミング、テスト)
移行工程(運用準備)
ここはたいへん重要なのですが、各工程を明確にして、さらに開発業者、クライアント双方の役割を明確にすることです。
特に上流工程では、開発業者丸投げではなくクライアントの積極的な関わりが必要です。さらに、テストなどでもクラインアントの協力がなければ万全のテストが行えません。双方の役割を明確にすることは、上流工程不十分に伴う失敗を防止するものであり、クライアントにとっても重要なことです。
協力体制についても、担当者、定期的な打合せ等まで具体的に定める場合があります。

 

ドキュメント等の成果物について
建設業なら建物の完成~引渡しとなりますが、システム開発はシステムを開発するだけではなく、途中において作成される各種ドキュメントがあります。
上流工程(要件定義書、外部設計書)
下流工程(内部設計書、プログラム設計書)
システム開発は先のドキュメントに従って進行しますので、こうしたドキュメントについても明確にする必要があります。

 

仕様変更、機能追加
最も望ましいのは上流工程を完璧にして、下流工程で仕様変更や機能追加が発生しないことです。しかし、現実問題としてこうした変更はよくあることです。
この場合、変更手順、納期や開発に影響する場合について等、明確にしておいたほうが後々のトラブルを回避することができます。

 

開発期間、納期
上流工程、下流工程、移行工程の個別契約において定めます。納期変更手順や条件について定めることになります。

 

価格と支払方法
ケースバイケースなのですが、工程毎の価格、支払い方法を定めることもあります。システム開発に限らず、最も重要な部分になります。

 

検収
納入するシステム、成果物としてのドキュメントについての検査手順を定めます。

 

その他
下請外注について、納入したシステムに欠陥があった場合の瑕疵担保責任、納期に間に合わなかった場合の債務不履行責任、著作権の帰属、守秘義務、個人情報取扱い、裁判管轄等について定めます。

 

システム開発は専門用語が多く使われます。クライアント側としては意味不明の専門用語を多用されても困ります。契約書をできるだけ分かりやすい言葉に置き換えるとか、冒頭に用語定義を明確にするとかの配慮が、後々のトラブルを防止することになります。

 

このように、システム開発は契約内容だけとっても業界特有の事情が多く、開発業者主導で契約することに不安がある場合、第三者的立場のシステムコンサルタントに相談されることを推奨いたします。
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